第1回糖尿病足病変予防的手術キャダバーセミナー

2017年12月9,10日、当研究会は札幌医科大学のご協力を得て本邦初の「糖尿病足病変予防的手術キャダバーセミナー」を開催させていただきました。
荻窪病院整形外科の早稲田明生先生、下北沢病院整形外科の菊池恭太先生に講師をお願いし、形成外科医、整形外科医、血管外科医、糖尿病内科医がセミナーに参加、そして理学療法士、義肢装具士などがオブザーバーとして参加されました。
患者のADLを著しく損なう糖尿病足病変ですが、これまでの治療の中心は装具療法やリハビリテーションによる保存的治療でしたが、近年では足部に特化した専門医療職である足病医(Podiatrist)のいる米国を中心に積極的に潰瘍予防目的による手術療法が盛んに行われています。本邦においても当研究会の世話人の先生方を中心に予防的手術が徐々に行われつつありますが、日本特有の裸足文化やアジア人と欧米人の体格の違いなどを鑑みると、海外の手術をそのまま持ち込むのではなく、日本人に最適な技術を開発しつつピットフォール等の確認をすることが求められます。増え続ける糖尿病患者さんの足を守るためには発生予防、再発予防のための変形修正手術の知識が欠かせません。今後も当研究会では糖尿病足病変の創傷治療のみならず、足部変形修正手術の「正しい」普及を目指し、予防的治療手技の確立と共有に邁進していきます。

今回のセミナーでの実施手術手技
  1. 外反母趾手術(遠位骨切り:Chevron法)
  2. 強剛母趾に対する母趾MTP関節形成(Keller法)
  3. 足趾IP関節切除形成術、固定術
  4. 足趾中足骨短縮術(Weil法)
  5. 足趾中足骨短縮術(近位骨切り法)
  6. 中足部シャルコー変形に対する髄内スクリュー固定
  7. Panmetatarsal head resection
  8. 経皮的アキレス腱延長術(hemi section)
  9. 足関節可動域制限に対する腓腹筋腱腱膜切離